今回の記事では、運転免許の取得について、
様々なアングルから解説をしていきたいと思います。
さらに、教習所には通わずに試験合格だけで免許を取得する、
『一発試験・一発合格』においては、
時間と出費の節約という単純な視点だけでなく、
長年、自動車運転をしている側から見たメリット・デメリットにもフォーカスを当てました。
今回の記事は、これから免許を取得しようとする超初心者の方から、
運転のベテランと呼ばれる方まで幅広い層への有益を目指しました。
初心者の方はベテランの気持ちを汲むつもりで、
ベテランの方は初心へ戻るような気持ちになって、
今回の記事を読んでもらえたら幸いです。
目次
定番!教習所へ通って運転免許試験へ挑む 時間と料金は?
自動車免許の取得においては、
教習所へ通ってから本試験に挑むのが一般的で、
今もほとんどすべての免許保有者が、
そのプロセスを踏んでいると思います。
学費に関しては、自動二輪車免許の所有やAT・MTの選択、
教習所によってサービスによる料金差はあるものの、
20万円台前半から30万円前後となる見込みです。
さらに仮免許試験代や実技の時限追加が発生した場合など、
別途、追加料金として発生するのが基本的です。
学科と技能の時限は全国どこの教習所も共通となっており、
各講習を時限(1時限50分授業)で表記されており、
MT(マニュアル車)とAT(オートマ車)では実技の時限数が異なります。
MT車免許の教習時限数は?
MT車免許の学科教習は第1段階が10時限、第2段階が16時限の合計26時限となっています。
技能教習は第1段階が15時限以上、第2段階が19時限以上の合計34時限以上となっています。
教習の総合計時限は、最短で60時限となります。
MT車免許の教習時限数 | 第一段階 | 第二段階 | 合計 |
学科教習 | 10時限 | 16時限 | 26時限 |
技能教習 | 15時限以上 | 19時限以上 | 34時限以上 |
技能教習においては、各教習で承認を得ないと先の教習へ進めないため、最短34時限数に【以上】と表記 |
AT車限定免許の教習時限数は?
AT車限定免許の学科教習は第1段階が10時限、第2段階が16時限の合計26時限。
技能教習は第1段階が12時限以上、第2段階が19時限以上の合計31時限以上となっています。
教習の総合計時限は、最短で57時限となります。
AT車免許の教習時限数 | 第一段階 | 第二段階 | 合計 |
学科教習 | 10時限 | 16時限 | 26時限 |
技能教習 | 12時限以上 | 19時限以上 | 31時限以上 |
技能教習においては、各教習で承認を得ないと先の教習へ進めないため、最短57時限数に【以上】と表記 |
仮免許の技能試験、本免許技能試験のいずれも、
試験を受けるためには、教官から各時限ごとに合格印をもらう必要があり、
それらの積み重ねによって、第一段階→仮免許試験→第二段階→本免許試験へ進めます。
学科においては、遅刻や授業に対する怠慢がなければ、
授業(時限)都度で合格と見なされますが、
実技に関しては、合格に値するという教官の判断を得られないと、
その時限のやり直しによる追加教習があるので、
段階ごとに明確な時限は定めてありません。
技能講習に限って『以上』の表記がされているのは、
合格しなければ先にも進めませんという意味でもあります。
1日に受けられる受講制限についてですが、
学科においては制限はないものの、
技能においては第一段階で2時限まで、
第二段階では3時限までと決まっております。
さらに、受講自体が予約制だったり、
曜日や時間によって受講内容のスケジュールも異なりますので、
自分の好きな日に、好きな時間だけ必要な受講が出来るわけではなく、
よほど時間の余裕を持っていない限りは、
数ヶ月かけて免許取得となるのが一般的です。
教習所が設けている講習プランとしては、
空きのある講習を都度申し込みをしていくプランから、
入学から卒業まで一貫して予約を取れるプランがありますので、
自身のスケジュールや予算の都合に合わせて、
適したプランを選んでからの受講という運びになります。
筆記試験は難しい?合格のススメ
筆記試験とは言ってもまるばつ形式で回答する内容に加えて、
ほぼ2択の回答となっていますので、誤字脱字によるミスは起きず、
複数の回答の中から悩むような問題はありません。
テストの制限時間は50分となっており、
各2点の3択問題が5問の合計10点、
その他は各1点の2択問題が90問の合計90点、
合格ラインは90点とかなり高めを設定されています。
50分の制限時間において求められる回答数ですが、
1分あたり1.9問のペースで回答する必要があります。
仮免の学科試験が30分50問だったので、
こちらの1分あたり1.6問の回答ペースと比べると、
問題の多さ、回答のペース、回答率の高さに関しては、
当然ながらさらに難しくなっております。
上記のような、本番さながらのテスト集も本屋さんにたくさんあります。
絵も用いながら、分かりやすい問題となっているのが特徴です。
実技試験は落ちやすい理由とコツを掴めば大丈夫!
実技の本試験は路上で行われる100点が起点となる減点方式となり、
70点までが合格ラインとなります。
技能本試験において、よくある失敗・減点のとしては、
やはりマニュアル車における坂道発進のエンストでしょう。
アクセル・ブレーキワークの適度な力加減が出来ず、
無駄な加速や減速をさせてしまう、
交差点においての右左折において、
減速、3点確認(ルームミラー・サイドミラー・目視)の
どれかが失念するか、おざなりな確認になってしまう点です。
しかし、言うまでも無く、
この試験こそが、教官のアドバイスを抜きにした、
自分の素の実力による運転となりますので、
緊張感や高揚感によって、本来の自分を見失わずに冷静に運転が出来たのか、
自分の力量を冷静に受け止める必要があります。
路上での些細なトラブルが重大な事故を引き起こす可能性と、
悲惨な重症・死亡事故を引き起こさず、巻き込まれない観点からすれば、
本試験に合格というゴールでもあると同時に、
安全・無事故運転のスタートでもあるという事になります。
本免許・技能試験採点基準一覧
審査項目 | 失念や不足による減点対象 | 減点数 |
安全措置 | 乗車・降車時の措置(ドア開閉、ミラー類、操作器具の確認等) 乗車姿勢(体の位置、足の位置、手の位置) | 5点 |
運転姿勢 | シートベルト未着用 | 10点 |
発進 | 急発進、ノッキング、空ぶかしといったアクセルのムラ 【試験場内における】発進の手間取り | 5点 |
【路上内における】発進の手間取り、エンスト | 10点 | |
逆行(小)停止した地点から進行しようとする反対方向に、 おおむね0.3メートル以上0.5メートル未満進行した場合 | 10点 | |
逆行(小)停止した地点から進行しようとする反対方向に、 おおむね0.5メートル以上1メートル未満進行した場合 | 20点 | |
速度維持 | 課題外速度・・超過も不足も対象。1回目は対象外となるが、 2回目以降は1回目に遡って減点対象となる (つまり2回目で20点の原点となる!) | 10点 |
安全確認 | 発進・後退時、巻き込み防止、交差点、踏切、後方、降車時等の不確認 | 10点 |
合図 | 発進合図・・・しない、戻さない等 変更合図・・・しない、戻さない、時機 右左折合図・・・しない、戻さない、時機 等 | 5点 |
制動 | エンジンブレーキ不適、クリープ時の速度調整、 断続ブレーキ(ポンピングブレーキ)、一連の制動の不円滑 | 5点 |
カーブ前制動・早すぎ(小) | 10点 | |
カーブ前制動・早すぎ(大) | 20点 | |
ハンドル | 切り返し、狭路切り返し | 5点 |
ふらつき、急ハンドル | 10点 | |
ふらつき(大) | 20点 | |
車体感覚 | 停止位置(前・後)、巻き込み(寄せ・離れ)、脱輪(程度小)等 | 5点 |
側方感覚、脱輪(程度中)、接触(程度小) | 20点 | |
進路変更 | 交差点変更・・・しない、離れる、遠い、右振り、等 | 10点 |
進路変更禁止の場所で、その道路標示を超えて進路を変え、 又は変えようとした場合 | 20点 | |
直進・右左折 | 30m手前で合図を出さない、又はまったく出さない、合図を止めない | 5点 |
巻き込み防止、歩行者確認、 | 10点 | |
標識や状況に応じた徐行、方向別通行、進入禁止、優先判断 | 20点 | |
歩行者保護等 | 泥はね運転 | 10点 |
停止できるような速度で進行せず又は進行しようとしない | 20点 | |
最高速度・踏切通過・駐車等 | 踏切を通過中における変速操作 駐車時のサイドブレーキ、スイッチ、ギア | 5点 |
警音器、急ブレーキ、駐停車方法 | 10点 | |
緊急車両妨害、合図車妨害、速度超過、駐停車違反 | 20点 | |
試験中止 | 逆行(大)停止した地点から進行しようとする反対方向に、 おおむね1メートル以上進行した場合 暴走、ふらつき(大)、発進不能(信号・停止・発進において4回) 通過不能(4回)、脱輪(大)、接触(大)、 黄・赤信号の際の侵入、踏切不停止、追い越し、割り込み、 試験官補助(ハンドル・ブレーキ)、指示違反、減点超過 |
上記の表には、本試験による減点表をまとめましたが、
本試験中に意識しながら走行する必要など全くありません。
目の前の安全運転に100%集中し、
無事故と高得点で試験を合格して終える事が重要で、
『教習所で教わった基本に従った運転』に努めるのが秘訣です。
本免許技能試験に合格するために必要不可欠なのは、
教習所で教わった基本を遵守した安全運転となり、
そこにはいかなる例外も無いと思って間違えありません。
本免許技能試験で不合格となってしまう傾向でよくあるのは、
『学んだ知識にアレンジを加えて、独自の安全運転を作ってしまう』です。
運転免許試験の合格率は?
普通自動車に限らず、様々な種類の運転免許の合格率は、
平均して75%前後を推移しておりますので、
10人中7〜8人くらいが合格できると考えると、
日本の運転免許の試験というのは、
比較的合格しやすい難易度となっていると思われます。
普通自動車の試験においては、
基本的には公道の安全走行を主としていますので、
道路標識などを正確に理解・認識して運転が出来る知識と、
安全運転をするための基本的な運転技術が備わっていれば、
決して難しくない試験だと思います。
前述のとおり、合格者が上位〇〇名と決まっていませんし、
日本中を駆け巡っている自動車の量と年齢層の幅広さを考えれば、
決して緊張して身構えるような必要は無いと思います。
しかし、あくまでも平均した合格率でもあり、
免許種別によって、運転の特性は大きく異なってくるので、
走行だけには限らない専門性を、
身につけ無ければ取得出来ない免許もあります。
例えばクレーン車の免許もその1つですが、
クレーンは公道の走行がメインではなく、
重量のあるブームを左右に振ったり高く伸ばしたりして、
ブームの先にあるフックで、超重量の資材を低所から高所まで、
移動する作業がメインとなります。
資材をフックで吊るす玉掛けにおいては、
クレーンと資材の重量バランスや風速の確認、
クレーンの土台の均等を保つための、
地質による安全性の分析、適切なアウトリガーの設置など、
走行以外での専門性が高く求められます。
しかしこういった専門分野においては、
高度な専門知識を要していないと、
超重量資材の落下や建物の崩落などにつながり、
多数の死傷者を発生してしまう事故へ繋がりかねないので、
当然と言えば当然なのかもしれません。
時間と費用の大幅削減 一発試験とは?
教習所へ通ってから本試験に挑むのが一般的ですが、
学科、技能ともに独学で本試験に挑んで合格し免許を取得する、
一発試験という自動車免許の取得方法があります。
教習所で習う実技・学科についてを独学で学び、
試験会場・運転免許センターでの試験となりますので、
記事冒頭で説明した教習所における、
時間と費用のほとんどが発生しない事になります。
教習所へ通った場合と一発試験の場合を、表でまとめてみました。
時系列毎の内容の違いや、発生する料金や時間について比較してみましょう。
普通自動車免許の取得における、一発試験によるプロセスと、教習所へ通うプロセスとの比較 | |
【一発試験における免許取得のながれ】 | 【教習所通いにおける免許取得のながれ】 |
①免許申し込み(運転試験場・運転免許センター) | ①入校手続き(教習所) |
②適性検査(視力検査) | ②適性検査(視力検査) |
③仮免許の学科試験と技能試験の受験 | ③1段階学科(10時限)技能(12・15時限〜) |
④仮免許証の交付 | ④仮免許の学科試験と技能試験の受験 |
⑤路上練習(5回) | ⑤仮免許証の交付 |
⑥本免許の学科試験と技能試験の受験 | ⑥2段階学科(16時限)技能(16・19時限〜) |
⑦取得時講習を受講(教習) | ⑦卒業検定(技能のみ) |
⑧免許証交付【終了】 | ⑧卒業証明書の発行(教習所卒業) |
実技、学科トータルで35時間以上の節約 | ⑨学科試験(運転試験場・運転免許センター) |
⑩免許証交付【終了】 | |
費用合計目安:24250円 | 費用合計目安:20万円代〜30万円代 |
「自動車等の運転講習(・普通自動車の運転に係る危険予測、その他の安全運転に必要な技能
および知識・高速道路における普通自動車の安全な運転に必要な技能および知識)」
および「応急救護処置講習(気道確保、人工呼吸、心臓マッサージおよび止血等の
応急救護処置に必要な知識)」
如何だったでしょうか?
学科・実技カリキュラムのほとんど全てが無い分、
とてもシンプルに免許交付までたどり着いたと思います。
学科に関しては、教習所で学ばなくとも、
本屋に売っている参考書での勉強でも問題ありません。
実技に関しては少し条件が特殊となっていて、
私有地の中において、自動車運転に長けた方を同乗させて、
練習する事が出来た方や、何かしらの事情によって免許を失った、
運転経験のある方のみが合格の可能性を持っていて、
まったくの運転未経験や、有効期限を切らせたペーパードライバーでは、
合格する事は不可能に近いと思います。
本当にお得なのか?一発合格した先を考える
一発試験に合格するには、あらゆる知識・情報・技能などを、
自ら収集して習得する必要がありますし、
それらに歯抜けがあってはならないのが必須となります。
もし仮に事故を引き起こした時に、
『教習所に通っていないから知らない』などという理屈は、
絶対に通らないのは言うまでもありません。
自ら自由な選択と手段で免許を取るならば、
その自由に責任を課せられるのは当然であり必然です。
免許取得の手段に自由であっても、そこには責任と教養が備わっていなければならない
自動車運転に必要な知識や道徳が欠けていると、
『時間が無い・忙しい・子供の迎えが・仕事の予定が、、』などと、
自分勝手な理由を並べて、危険な運転が日常的になっていきます。
自分でも気がつかないうちに危険運転の常習者となっていて、
それが当たり前の運転になってしまうのです。
ゆえに自分でも気が付かず、誰からも指摘をされずにいて、
取り返しの付かない大きな痛みでやっと気がつき、
しかし時すでに遅しというケースは稀ではありません。
事故で失われた命は戻らない。事故前の平穏な時間も二度と戻らない。
教習所で運転にまつわる知識を学んだとしても、
事故を防ぎ、安全運転を心掛けれるか否かは、
その人の教養と道徳心だと思います。
運転免許試験における、一発試験合格を否定するわけではありませんが、
硬さ・重さ・速さ・力を備えた自動車の運転席に乗るからには、
自分の人生のためにも、強い責任感と知識と道徳を持ってほしいと願っております。
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